エレビジス(SRP-9001)に関する中医協での議論再開を受けて
― エレビジス(SRP-9001)に関する中医協での議論再開を受けて ―
2025年10月14日
一般社団法人 日本筋ジストロフィー協会
代表理事 竹田 保
10月8日に開催された中央社会保険医療協議会総会(第619回)において、
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対する条件・期限付き承認の遺伝子治療薬『エレビジス点滴静注』について、医療保険上の取扱いに関する議論の再開が大筋で了承されました。現行の国内承認対象は3歳以上8歳未満のDMD患者です。海外で報告された非歩行患者の重篤事例を踏まえ、国内でも安全対策の一層の徹底が求められています。
今年6月、海外の歩行不能患者で急性肝不全による死亡例が報告され、審議が一時停止。これを受け、PMDAの専門家協議を踏まえた添付文書改訂、肝機能検査の厳格化、適正使用ガイド/患者資材の整備などの対策が講じられ、当日の総会で対策の徹底を前提に議論再開が共有されました。議論が再開されたことは、慎重な検討の中にも希望の灯がともる一歩であると受け止めています。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは発症が幼少期であり、
治療の「タイミング」がその後の人生を大きく左右する疾患です。
一方で、遺伝子治療は極めて高額であり、かつ慎重な安全管理を要するものでもあります。
私たちは、「安全性を最優先にしながら、必要とする患者が適切な時期に治療へアクセスできる」
この両立こそが、社会として追求すべき姿勢であると考えます。
今後は、厚生労働省および関係機関との調整を速やかに進め、議論の進展を注視しつつ、患者の立場から建設的な提案を続けて、できる限り早期に保険収載の実現につながるよう努めてまいります。
同時に、実際に治療を受ける患者や家族が安心して意思決定できるよう、
情報の透明性と説明責任を確保することが重要です。
医療機関・行政・製薬企業、そして私たち患者団体が協働し、
安全性と信頼に基づく治療環境をともに築いていくことが求められています。
なお、一部報道で取り上げられた「患者代表の支払側委員」のご発言は、保険者側の立場からの見解であり、当事者団体としての当協会の見解とは立場が異なります。
私たちは、あくまで患者・家族の視点に立ち、安全性を最優先しつつ適切な時期の治療アクセスの確保を継続して求めてまいります。
日本筋ジストロフィー協会は、今後も患者・家族の声を丁寧に拾い上げ、
制度の整備や情報提供のあり方について、関係機関との対話と提言を重ねてまいります。
治療を「待つ時間」もまた、患者のかけがえのない命の時間であることを、
社会全体で共有していけるよう、引き続き努めてまいります。
📎 参考
中央社会保険医療協議会(第619回)議事・資料、マスコミ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64319.html(外部のサイトを開きます)
(以上、ホームページ運用チーム)
