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「武田先生によるDMDの治療薬についてのオンライン講演会」質問と回答

  • JMDA

(質問1)この薬は1時間の点滴を毎週1回投与するということですが、どのくらいの期間続けるのでしょうか?

(回答)武田先生:1時間の点滴を週に1回行うのは患者さんにとってかなりの負担になると考えています。実際に投与が始まって有効であることが確認されれば、安全性が担保される限り、できるだけ長く使っていただくことができればと思っています。

((回答)日本新薬:医療関係者から同様の質問をいただいたときは、以下のように回答しています。
“本剤に投与期間の規定はありませんが、永続的な人工呼吸が導入された患者さんや歩行不能後期の患者さんにおける有効性及び安全性は確立していません。投与期間中にこのような状態になった場合には、残存している運動機能等を考慮したうえで、患者さんの状態を慎重に観察し、定期的に有効性を評価し投与継続を判断してください。効果が認められない場合には投与の中止を検討してください。”

 

(質問2)この薬を多くの患者さんに使ってもらうために、Remudyに登録されている患者さんに「この薬の治療対象に該当します」と伝えることはありますか?

(回答)武田先生:臨床試験の段階では、候補になり得るとお知らせしていました。
ただ今回のような機会(講演会)で、患者やご家族の皆様にも知っていただいていますので、私としてはこのまま実際に薬剤が使われていき有効性の情報が上がってくることを願っています。

 

(質問3)ジストロフィン遺伝子のエクソン53以外の、他の遺伝子や他の部位に影響を及ぼす可能性(オフターゲット効果)はありませんか?

(回答)武田先生:これまで全エクソームシークエンスに対して検索し、オフターゲット効果が起こる確率は非常に低いと思っていますが、全く起きないかというと、否定はできません。今後、予期せぬ症状が発現したり、問題があった場合にもう一度考えるということはあるかと思います。これまでの研究では可能性は低いと考えられていますが、大規模に投与が始まると、このような点に対しても十分注意を払う必要があると考えています。

 

(質問4)エクソンの欠失や変異により遺伝子の読み取りがSTOPするというのは、それ以降タンパク質が作られなくなるのでしょうか、またはタンパク質は作られるが意味のないタンパク質ができてしまうのでしょうか?

(回答)武田先生:我々が実験をした筋ジストロフィー犬やマウスを使った検討から、未成熟終止コドン(premature stop codon)が出てきて、遺伝子の読み取りが停止すると理解しています。すなわち、途中で終止コドンが出現し、機能的なジストロフィンタンパク質が発現しなくなります。同じことはヒトの場合でも言えると考えています。

 

(質問5)エクソン53のスキップというのは、エクソン42から52の欠失や点変異のある人にこの薬が有効ということですか?

(回答)武田先生:エクソン53スキップの対象になる遺伝子変異にどのようなものがあるかという質問と思います。多いのは45-52の欠失や48-52の欠失ですが、42-52の欠失のように、53スキップにより読み取りが修復できるエクソン欠失が対象になるという意味です。
現在のところ点変異の患者さんが対象になるわけではありませんが、今後様々な部位のエクソンに対応する薬剤開発が進められる可能性がありますので、情報の推移には十分注意してほしいと思います。

 

(質問6)「条件付き承認」では、どのような有効性が認められれば、本承認になるのでしょうか?

(回答)日本新薬:本剤の製造販売承認に際し、以下の“承認条件”が付されました。国際共同第三相試験の実施等、弊社ではこれらの条件を満たすための取組みを開始しています。

[承認条件]
・医薬品リスク管理計画※を策定の上、適切に実施すること。
・国内での治験症例が極めて限られていることから、再審査期間中は、全症例を対象とした使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
・本剤の有効性及び安全性の確認を目的とした臨床試験及び国内レジストリを用いた調査を実施し、終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出すること。

※医薬品リスク管理計画:
医薬品の安全性の確保を図るためには、開発の段階から市販後に至るまで常にリスクを適正に管理する方策を検討することが重要です。医薬品リスク管理計画(以下、RMP)は、医薬品の開発から市販後まで一貫したリスク管理をひとつの文書に分かり易くまとめ、調査・試験やリスクを低減するための取り組みの進捗に合わせて、または、定期的に確実に評価が行われるようにするものです。また、RMPを公表して、医療関係者の皆様と市販後のリスク管理の内容を広く共有することで、市販後の安全対策の一層の充実強化が図られることが期待されます。

 

(質問7)今回53のエクソンスキップの薬剤だと思うのですが、今後、他のエクソンスキップの薬剤が開発されると推察されます。そうなれば薬剤名もそれぞれ違うものになりますか?(ビルトラルセンの名前の由来は?)

(回答)日本新薬:他のエクソンスキップの薬剤は、開発が成功すれば、それぞれ異なる薬剤であるため、薬剤名も違うものになります。
ビルトラルセンは一般名であり、商品名は「ビルテプソ点滴静注250㎎」です。商品名につきまして特別な由来はありません。

 

(質問8)「条件付き承認」の条件の中に時間的な制限はないのでしょうか?
 例:○年○月○日までに効果の有無を報告するなど

(回答)日本新薬:具体的な期限は設定されていませんが、上述の「承認条件」の3番目には以下の通り記載されています。
・本剤の有効性及び安全性の確認を目的とした臨床試験及び国内レジストリを用いた調査を実施し、終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出すること。

 

(質問9)この薬の治療はどの病院で受けることができるのでしょうか?

(回答)日本新薬:主治医の先生とご相談いただきますようお願い申し上げます。

 

以上