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球脊髄性筋萎縮症(bulbospinal muscular atrophyKennedy―Alter-Sung disease

X連鎖(性染色体)劣性遺伝をとるので、男性のみが病気となります。病理学的には延髄や脊髄前角細胞の脱落、知覚神経をも含む末梢神経の脱髄があり、さらに睾丸萎縮があります。筋肉は典型的な神経原性萎縮をみます。

遺伝子はクローニングされていて、アンドロジェン受容体の遺伝子にCAGの3塩基繰り返しの増大がみられます。筋強直性ジストロフィーもCTGの3塩基繰り返しの増大が病気と関係していることを述べました。ハンチントン病、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮(dentato-rubro―pallido-luysian atrophy:DRPLA)、脊髄小脳変性症などいくつかの病気で3塩基繰り返しの増大が病気と関係あることがしられています。それらは3塩基繰り返し病(triplet-repeat disease)と総称されていて、球脊髄性筋萎縮症を除いては常染色体優性遺伝をとります。

球脊髄性筋萎縮症は成人になって発症します。近位筋優位の筋力低下と萎縮、筋束性攣縮、振戦がみられます。物が飲み込みにくいなどの球麻痺症状があります。特異的なのは女性化乳房があることです(図42)。症状の進行は緩徐です。

図42

図42:女性化乳房

球脊髄性筋萎縮症では性ホルモンの異常があり、男性でも乳房が顕著となる(女性化乳房)のが診断的異常である。