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ダノン病(Danon disease

X連鎖優性遺伝のまれな疾患で、全世界で数十例の報告があるにすぎません。肥大型心筋症とミオパチーが主な症状です。軽い知的発達遅滞を伴う例もあります。心筋症は、しばしば不整脈を伴い、突然死を来すことがあるため注意が必要です。ミオパチーは軽度なこともありますが、そのような例でも血清クレアチンキナーゼ(CK)値は必ず上昇しています。筋組織を見ると、筋線維内に多数の小空胞が見られます。電子顕微鏡で見ると、これらの空胞は多数の筋線維崩壊産物を含んでおり、自己貪食空胞あるいは自食空胞と呼ばれます。

この疾患は、リソソームの膜にあるLAMP-2(lysosome-associated membrane-2;ランプ・ツー)というタンパク質の欠損が原因で起こります。特徴的な空胞の出現に加え、筋組織を用いた免疫染色でLAMP-2の欠損が明らかになれば診断が確定します。自己貪食空胞はリソソームと融合し、リソソーム内にある分解酵素を利用して、空胞内部の物質を消化します。従って、ダノン病では、自己貪食空胞とリソソームとの相互作用に何らかの問題があり、空胞内部の物質をうまく消化できないのだろうと考えられています。