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症状からの鑑別点

筋原性疾患の特徴

近位筋が主として侵され、顔面筋も侵されやすい

筋原性疾患(ミオパチー)での筋萎縮、筋力低下の部位は一定ではありませんが、遠位型ミオパチー、筋強直性ジストロフィーなどの一部の疾患を除いて、近位筋(躯幹、上腕、大腿部の筋)がより強く侵される傾向にあります。逆に神経原性疾患では遠位筋(手足の先の方の筋)が細くなり力が入らなくなります。

筋原性疾患では腰や大腿部の筋が侵されることが多いため、立ち上がるときに努力がいります。そん居の姿勢からすっと立ち上がることができず臀部をまず挙げて、膝に手をあてて立つことが特徴的です。これを医学的にはガワーズ徴候(Gowersという学者が最初に報告したからです)といいます。このことはデュシェンヌ型筋ジストロフィーの項に写真を出します(デュシェンヌ型筋ジストロフィーページの図10)

筋疾患では顔の筋肉が侵されること(顔面筋罹患)はあまり多くありません。顔の表情が乏しくなるような顔面筋罹患がある場合は筋原性疾患の可能性が高いのです。顔面筋罹患がある代表的な病気には福山型先天性筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、先天性ミオパチー(ネマリンミオパチーなど)があります。

神経原性疾患の特徴

手足の先の筋力低下と筋肉の細かいふるえがある

神経原性疾患も乳児期に発症するような脊髄性筋萎縮症(ウェルドニッヒ・ホフマン病)では全身の筋力低下があり、みかけでは筋原性疾患との鑑別は困難です。成人になって発症する筋萎縮性側索硬化症や末梢神経障害では手が細くなって力が入りにくくなることで気付かれることが多いです。舌や手足の筋の細かいふるえ(筋束性収縮:fasciculation)、手指の振せん(tremor)は神経原性疾患にしかありませんので、大切な鑑別点となります。