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設立趣旨

近年、筋ジストロフィーをはじめとする神経・筋疾患の遺伝子医療の分野における進歩は著しいですが、遺伝子を取り扱う医療は旧来の医療と根本的な違いがあります。それは、ヒト遺伝情報が、予見性(個人に関する遺伝的特性、とりわけ易罹患性<病気への罹りやすさ>を予見しえること)、血縁者間での共有性(世代を超えて、子孫を含めた家族、集団に対して重大な影響を与えること)、生涯かわることのない情報の存在可能性(試料収集の時点では必ずしも明らかにされていない情報を含みえること)、および個人・集団に対する文化的重要性(個人または集団に対する文化的重要性を有し得ること)をもつという特殊性が存在することです(UNESCO「ヒト遺伝情報に関する国際宣言」平成15年)。

すなわち、遺伝子を扱うことはその患者個人の究極のプライバシーを保有することに他なりません。こうしたことから、遺伝子に関する診断並びに治療は、従来の医療者側から与えられる医療ではなく、世界医師会の「ヘルシンキ宣言」の精神にのっとり、患者の皆さんが自ら求める、当事者主体の医療とする必要があります。

本機構はこのような21世紀型の新しい医療が円滑に行われるために当事者が主導、設立する組織です。

基本的活動

  1. 神経・筋疾患の遺伝子診断の結果およびその他の医学情報の登録・管理
  2. 神経・筋疾患における遺伝子医療の倫理的および社会的公正性の審議
  3. 神経・筋疾患における遺伝子医療の促進と監督
  4. 神経・筋疾患の遺伝子医療に関する普及・啓発
  5. 上記の4項目に関連するそのほかの諸活動